K2クラブハウス
2024年9月18日

メタバース空間「METAR BUCKS楽市」運営者マシューさんへのインタビュー

編集部

以前K2クラブハウスイベントに参加していただいた、メタバース空間であるMETAR BUCKS楽市を運営されているマシューさんにインタビュー!メタバースの事やマシューさん自身の事を聞いていくぞ!

*終始アイコンでは遊んでいますが、真面目に語っていただいています。

マシューさんは以前のインタビューで自分を当事者とおっしゃっていましたが、不登校やひきこもりの経験をされたんですか?

僕ね、中学校まで一生懸命頑張っていけたんだけど、高1の時に違和感が限界に達し、症状として電車の中で油汗が止まらなくなってパニック発作で、何回か倒れるってことがあって、不適応を発症したんですよね。

それでどうしようってなって、退学届を出した次の日から、図書館と地区センターみたいなところに行くようにしたんですね。
図書室にはティーンズのコーナーがあったりして、君たちはどう生きるかみたいな感じのいろんな本あるじゃないですか。
そういう感じの本を借りたり、進路についての本を地区センターのラウンジの一角で将来についてすごい考えてたら、ある日後ろから声をかけられたんですよね。

ふと振り向くと
「君、ここで何をしているんだい?」って言われて。
「あー、実は高校を退学してですね、 将来について悩んでます」って言ったら、
「じゃあ、うちに来なさい。」って言われて、そのまま後ろついて行ったら、マンションの一角に着いて。
実は個人塾を経営してる塾長さんだったんですよね。で、そこから8年間ぐらい毎日通わせてもらったんです。

塾なので朝からやってるわけではないのに、学校が始まる時間帯から来なさいって言ってくれて、朝9時から通って。 16時~18時ぐらいから生徒が来て、19時ぐらいには帰って行くのですが、先生が21時ぐらいまでいるので、僕は21時まで一緒にいて、最後一緒に閉めたり。しかも、その8年間無償で見てくださったんです。
どこにも帰属できない希薄さの中、毎日通う場があって、その恩師がいたおかげで、今の僕があります。

すごい。。まさに運命の出会いですね。

その方は、戦争を体験した世代で、竹槍持って、届かないB29をどうやって倒すんだと思いながら訓練に参加していた。
当時横浜市の中区に住んでいて、その先生は当時小学1年生と小さかったから、疎開しなかった。でも疎開しなかったために、横浜大空襲に遭ったそうです。

学校が被災して、生き残った生徒が1、2年生の中で自分入れて2,3人ぐらいだけだった。先生は体が弱くて、途中結核で転地療法をして療養生活をしていたらしいのですが、その際にお国のためにと皆がやっている中で、何もできない自分を思いながら
「自分だけが生き残った(てしまった)」っていう現実にどう折り合いをつけるかというのをずっと考えていたそうです。だから勉強だけはどんな時も頑張ったとのこと。
その問いを持ち続けて、先生は後に哲学を専攻したんです。
古代ギリシャ史を専攻して、古代ギリシャ語を書けて、少し喋れる方で、帝国大(現東京大学)の助教をされていたそうです。
その先生に、8年間ぐらいほぼ毎日、お正月以外は毎日通ってずっとお世話になって。 思想史、ギリシャ思想史、哲学、数学が大好きな先生だったので、数学の概念も教えていただきました。
先生と僕の間に居場所があって その8年間で僕のアイデンティティが出来上がった感じです。

そうだったんですね。しかし運命の出会いとはこの事ですね。
その先生が声をかけてなかったら全く違う人生になっていたかもしれない。

そうですね。本当に運命の出会いであり、ずっと恩師です。

そんなマシューさんが、今はメタバースという空間を中心に生きづらさなどを抱えた若者たちの支援に取り組まれているわけですが、メタバースの魅力ってなんですかね?

匿名性ですとか対人関係の距離とかですかね。リアルだとその場からすぐ帰れないし、関係性でしんどくなるけれど、ログアウトするとサクッと離れられて一人に戻れるじゃないですか。

メタバースという環境があると、僕にとっても心理的安全性を担保できるところで、似たもの同士が集まってやっている感覚があるんです。
一般的な働きかたとして、社交性が必要な場所で仕事をすることが、かなり大変な負担になっていたところに、 在宅の仕事が受け入れられるようになって。「やっと来たかこの時代が!」という風に思っていました。

ウェーイウェーイって感じじゃない方たちが、らしくいれる場所を自分も求めつつ、これからの世代の人たちに提供できるようにと思ってMETARBACKS楽市をやっていってます。

なるほど。コロナ渦をきっかけに在宅への認知度は変わりましたもんね。

もともと、コロナ禍の2020年の12月ごろは神奈川県教育委員会のスクールソーシャルワーカーをやっていたんです。

コロナがぶち当たった最中、不登校が増えているということで、文科省つまり学校は、年間30日以上学校に行っていない状況にある方を不登校と呼ぶんですが、その方たちと、ご家族と、先生の間に入る仕事をしていたんですね。
不登校の背景は多様で、いじめ、発達の凸凹や、精神的なもの、家族機能の脆弱性とか、積極的に不登校をするという考えなど、いろんなものがあって。

ただ、コロナ渦で人と会うことが禁止されてる中で、対人援助が出来ない。どういうふうにソーシャルワークを展開したらいいかっていうのが、非常に難題だったんですよね。

で、何ができるかと。

学校に来ないでくださいって言われる時期が確か10か月ぐらいあったんです、あの時。

その時期に学校は空いていないので、基本的に家庭訪問していくんですよね。皆さんのお話を聞いていったら、どうやら不登校の状況にあったとしても、インターネットにはつながっている。だけど、家族以外の人とはつながっていない。学びたいけど自分で勉強の仕方がわからない。あとは人との繋がりが欲しい。
自分は不登校というレッテルを貼られるのはやっぱり嫌だ。
家族は学校に行かせなきゃいけない、行かせたいという思いがある。


その葛藤をどうしたらいいかっていうところで、 「じゃあ、もうオンラインで学校に出席として認められる、システムを作ってしまおう」と思って社団法人を設立ました

なるほど。コロナ渦をきっかけとして不登校が増えたことはニュースにもなってましたね。だったら仕組みを変えてしまおうと。

そうですね。
ただ、公教育も少しずつメタバースを初めたんです。そして、僕らが提供しているものを全て無料で提供できる形になったのが2023年でした。

僕らの所はフリースクールみたいな感じで出席扱いはもらえるけど、利用料はかかっていたので、もう一定の役目は果たしたかなというのもあり、法人はたたむことにしたんです。
そして教育寄りじゃない社会的な方に傾いてやってみましょうというところで、METAR BUCKS楽市を立ち上げて取り組んでいるところです。

そこから現在の活動につながっていったんですね!

はい。METARBUCKS楽市では社会的な自立を考えていて、不登校のレッテルは学校卒業と同時に消えますが、そのままの状況にいると次は新しいレッテルが貼られちゃうわけですよね。引きニートとか。

結局、社会的には負のレッテルには変わらないわけで。
そのレッテルを変えられるよう、極端な話ですが自宅でパジャマでいても稼げる方向に持って行けないかと考えていて。
現在は、個人としてもいろいろなところに在籍し、多様な仕組みづくりに関わっています。Zoomなどを使ってプログラマー、エンジニア、デザイナーなどを養成して、企業案件を受けることで収入を得られる仕組みを整えている就労支援事業などもその一環です。

そこは、パソコンを初めて触る人でも対応できるようにサポートを行い、在宅で食べていけるスキルを身につけていくって言うところに興味を持っているんですよね。

なるほど。家から出ない、出られない事は変わらないけど、負のレッテルではなく、その場にいながら稼いでいこうってことですね。初心者でもサポートするっていうのがすごい。。

自分にとってもカタチにしばられない理想の職場環境だとかんじて、そういった多様な働き方を実現したいみたいなと。

人と逢わず、外に出ず、多少なりとも心地よい交流が人によって、 満足できる人との社会的な関わりって人それぞれだと思うんですよね。
それを自分で調節できることも大切で。
僕は毎日同じところへ通ってると疲れてしまうので、そうじゃないところで交流が保てて、なおかつ稼げる。そんな場所があってもいいんじゃないか
じゃあそうするにはどうしたらいいんだろうっていうところを常に考えていて。それがいいな、と思う人もいると思うので、そんな人たちがマネタイズできる仕組みを実践したいですね。

METARBUCKSの様子。RPGゲームの中に入り込んだような世界観がたまらない。

大勢の人と長くいられるっていうのは、僕はひとつの才能であり能力だと思っているんです。
でも、そうじゃない人たちが、ただそうじゃないだけなのに、働けないような職場が多いじゃないですか。そんな人たちの場所になってほしいなって思っています。

ありがとうございます。ところで個人的にずっと気になっていたんですが、最後の最後にいいですか?

メタ―バックスとスターバックスはなにか関係があるのかなと(笑)

あぁそこですね(笑)

以前運営していた社団法人は、教育委員会と共同しながら不登校の生徒を支援するものでしたが、生徒が自分自身を不登校を認めないと支援が受けられないんですよ。

自分で自分を不登校ですって認めないといけない場所って嫌じゃないかってすごく思ったんですよ。

最近、ソーシャルインクルージョン、 社会包摂性と、多様な人たちが一緒に生きていく社会を、あえてそう呼んでいますが、その場が実現しているのはどこかって考えていた時、その時まさにスタバにいたので、なんかスタバにみんないるよねって思ったんです。

みんな、とりあえずなんか飲んでたりとか、 テイクアウトしたりとかして、生活の分岐点、交差点みたいなところにあるんじゃないかと思って。

じゃあスタバでいいじゃんっていう風な感じで、メタバとスタバ。メターバックスは、メタバースと、スターバックスみたいな、気軽さみたいな意味を込めて命名しました(笑)

METARBUCKSのロゴ。下の文字は?

そういう事だったのか!
ついでに聞いちゃいますがメタ―バックスのロゴの下にある文字はなんて読むんですか?

これは、ハンスライシューアーギー(Hansrrrayshuagi)って書いてあるんですけど、 ハンスライシューアーギーって聞いたことありますか?

聞いたことないですね。。

ハンスライシューアーギーというコトバは、あるホームスクーラーの子が自分の出生地を「はさみしっぽ星」と言っていて、その国の言葉で「ごきげんよう、ハワーユー」って意味らしいんですよ。

すごい面白い言葉だなと思って。その子に聞くとストーリーや背景もしっかりしてて、本当にあるんだろうなっていうような世界からやってきた、宇宙語みたいだったんですよね。

そのまま使ったら面白いんじゃないかなと思ったんです。彼の仲間を探していて、 ハンスライシューアーギーって聞いてわかる人がもしいたとしたら、「あ、きっと彼と同じ星から、同郷から来たんだな」と、ちょっと彼に仲間を紹介したいなという思いも込めて。

文字はエレクトロハーモニクスというフォントを使ってて、それはアルファベットをローマ字に直してるんですが、日本語ができる人は絶対読めないという。でも、全部アルファベットでできてるんですよ。是非検索してみてください。

エレクトロハーモニクスで「ハンスライシューアーギー」っていうふうに書いてあるんですが、そのフォントで書いてあるがために、まず日本語にルーツがあるとまず読めない、そして解読できたとしても、宇宙語の挨拶なんで、結局地球由来の生命体の皆さんには結局意味がわかんない。この意味のわからなさ感が僕、たまらなく好きで、このままロゴにしてます。

絶対わかんないですね、でもなんか引っかかるんです。最初見た時、なんだこれって思って。

最後にメッセージをお願いします!

地球の皆さんHansrrrayshuagi!

あなたがあなたらしく、あなたとして、あなたであることをここから肯定しています。

そして、どこのなにものでもない不安定さ、帰属できない希薄さ、それこそがあなたが他者と違う個として存在している証拠であり、オリジナルである鍵です。

恩師が僕に教えてくれた言葉を拝借して、読者の君に伝えます。

スマホで検索しても、AIに尋ねても、極振りしてバックパッカーになっても、世界の果てのどこまで行っても、その答えは見つかりません。

あなたの内側にないものは、けっしてみつからないのです。

逆を言えばあなたの手の内に既にそれがあり、時期がきたら必ずそれは起こります。

あなたはあなた以上でもあなた以下でもないあなた自身として在ればいいのです。

【あなたとして、ただ存在する。】それ以上あなたにできることはありません。

そして、もっと楽しみなさい。

編集部

K2インターナショナルグループから放たれた現代社会への刺客。書類上は七人で構成されていることになっているが、実態は謎に包まれている。組織のモットーは『節度ある暴走機関車』。