石巻で生きる!
2025年8月8日

人とのつながり

aoyamaaoyama

こんにちは!

2013年にK2のメンバーとして石巻に移住し、数年前にK2石巻のスタッフになり、生きづらさを抱えた若者達と一緒に共同生活をしている菊澤卓司と申します!

寂しがり屋の自分にとって、共同生活はもう安心しかないですね。時にはてんやわんやの日もありますが、それほど濃厚な生活だと思って笑って流しまーす!笑っていれば自然と良い方向にいくことが多いはず!?

さて、前回は近所の80歳越えパワフルじいちゃん達とファーム(畑)を手作業で作っていった話をしましたが、今回はその続きを話していこうと思います!よろしくお願いします!

スコップ一つで元宅地の土地を開拓してから半年、ようやく野菜が育つような畑になってきて万々歳。いよいよ野菜を植えられるということですが、農業を一切やったことがない自分は何をどうしたらよいか全然分からず。そうしたら、縄跳びを毎朝飛んでいるパワフルじいちゃんがうちの玄関に来て、「どさっ!」

っとなにやら分厚い本を持ってきた!。

タイトル「野菜の育て方大全集」

何ページあるんだよという本を見てめまいがした自分は、

「理解できるがわがんねーがら、教えてけろ?」と段々自分も習得してきた石巻弁を使い、じいちゃんにお願いをしてみました。

すると「うちさ来い!」と言ってくれて、初めてじいちゃんちに招待されて。

ドキドキしながら行くと、緊張をほぐしてくれるかのようにじいちゃんの奥さんがお茶を出してくれた。お茶をすすりながらじいちゃんに野菜のことを聞いていると、奥さんが

「これ、うぢで穫れたキュウリ、食べてみんしゃい!」ときゅうりの漬物を出してくれました。きゅうりの漬物は買ったことしかなかったので手作りが出てきた時はなんか心がほっこり!しかもじいちゃんが育てたきゅうり。それが美味しいのなんの。一瞬にして野菜作りのモチベーションがアップ。そしてさらにその30秒後にはおせんべい、また30秒後には果物、そのまた30秒後にはおまんじゅう。どんどん食べ物が出てきて、フルコースのレストランにいるみたい。野菜のことを教えてもらいに来たのですが、これほどのおもてなしをしてくださったことが本当に感謝。お腹も心も満足をして僕は家へ帰った覚えがあります。

そこからファーム作りを一緒にしてきたご近所さん達の家に呼ばれることが多くなり、これがこの梨木畑の地に伝わる「お茶っこ」というもの。都会だったら近所の人を家に呼ぶことも、または近所の人の家へ行くことも経験したことがなかった自分にとってすごく衝撃的でした。なんて温かいんだこの地域はと。

そんなこんなで初めての野菜作りもとうとう収穫を迎えようとしていました。初めての収穫はたくさんの方々が来てくださり、みんなで喜びながら収穫を満喫。

とそこで、メンバーの一人が「〇〇さんが来てないよ今日。」とつぶやいていました。その声を聞いたパワフルじいちゃんは「収穫したやつ〇〇さんちにも持ってくべや!」とみんなで一緒に野菜を持っていくことに。お茶っこに行ったことのある家だったので訪ねて声をかけると「野菜うんと上手くできたこと~」ととても喜んでくれた!そこからファームでとれた野菜を地域の方々に配ることが定番化されました。

生きづらさを抱えた僕たちは今まで、正直誰かにもらってばかり、与えられてばかりの人生でした。だけどこの野菜作りを通じて、「僕は力があるからみんなよりも土づくりを頑張る!」とか「私は細かい作業が得意だから隅々まで草をとるよ!」とか自分にできること、得意なことを一人一人が見つけ、まわりのみんなのために何かをすることを覚えました。そしてそれがすごく楽しいと思えるようになったんです。

ひきこもっていたり、まわりとのつながりを断っていたりした僕らは人のためになっていない自分なんて価値がない。と本当に失望していました。だけどK2に来て色々な活動をする上で自分の存在価値がわかり、活き活きしていく若者が自分も含めて本当にたくさんいるなと感じます。

自分は親の知人からの紹介でK2を知り、K2に入寮することになりましたが、その時に背中を押してくれた両親に今となっては本当に感謝しています。この状況を打破したいけれど、自分だけではどうにもなりませんでした。

最後になりますが、

今この原稿を書いている時にご近所の方が「スマホがおかしくなってしまって。。。教えてけろ」とたずねてきました。

「はーい、すぐ行ぎまーす!」

人から頼られることって悪くないな。

aoyamaaoyama