K2クラブハウス
2026年4月10日

【狂気】昼はパン屋、夜は“沼”。元ひきこもりのガチ勢ゲーマーが『1000分の1秒』を金で買う理由。

編集部

数々のプロゲーマーがしのぎを削るFPSの世界。そこで勝敗を分けるのは、才能や練習量だけではない。指先の延長となる「デバイス」への執着だ。今回は、自作PCからマイニング、そして至高のデバイス探求へと至ったゲーム(特にFPS)好きのタケ氏に、その深すぎる「沼」の実態を聞いた。


登場人物

マッシャー:インタビュアー

タケ: K2歴15年。 中2の夏休みから引きこもり、19歳でK2につながる。その後海外での生活を経て現在はコッペパンハウス「パン屋のオヤジ」スタッフとして活躍。趣味はゲーム。特技はケーキなどのスイーツ作り。

今回のゲストは社内でも有名なゲーマーのタケさん。こだわりのガジェットを紹介してくれた。Tシャツには特に触れていないが彼自身は働き者だと社内でも評判だ。

マッシャー(以下マ): 今日はよろしくお願いします。それにしても、デスク周りの圧がすごいですね。このような環境はいつから?

タケ: 本格的にやり出したのは*K2シドニーから戻ってきてからですね。実は、最初はゲームが目的じゃなかったんですよ。(*K2シドニーはK2グループの活動拠点の一つでオーストラリア、シドニーにある。)

マ: え、そうなんですか?

タケ: もともとは自作PCで「マイニング(仮想通貨の採掘)」をやってみたかったんです。知識欲とお金稼ぎの間くらいで。でも、いざ始めようとしたらグラボ(GPU)が高騰して品薄で……。「あ、これ今更参入しても儲からないな」と。でも、PCは作っちゃった。じゃあ、ゲームでもするか、と。それが今の生活の出発点です。

マ: マイニングが成功していたら、今の「タケ」はいなかったかもしれない(笑)。

タケ: そうかもしれませんね。今ではすっかり「デバイスオタク」です。

今回は触れないがPC本体にもこだわりが詰まっていた。

マ: まずはマウスから伺いたいのですが、今いくつあるんですか?

タケ: 今は8個ですね。最初は3,000円のマウスだったんですが、不満を解消するために買い替えていくうちに、自分の「手の形」と「神経」の同期を求める旅が始まりました。

① ”Razer”DEATHADDER V2

タケ: 最初の衝撃はこれです。クリックが物理スイッチじゃなく「赤外線レーザー」なんです。物体が通過した瞬間に判定が出るから、遅延がない。握り心地、ホイールのノッチ感……「こんなに違うのか」と。持っているのは世代としては2代目、シリーズとして有線ワイヤレス含むと8~10種類くらいある)

② ”ZOWIE”ZA13B

タケ: 次に行き着いたのが、左右対称で「お尻が高い」ZAシリーズ。手のひらの付け根(母指球)でホールドする僕のスタイルに完璧にハマりました。この形状の完成度が高すぎて、他のマウスが使えなくなる「ZA難民」という言葉があるくらいです。同じ型番として一番古い世代で、ZA13C、ZA13DWがあります。

③ ”VGN”Dragonfly F1MOBA

タケ: その次はワイヤレスへの不信感を払拭した一台が出て試したくて購入しました。世界大会の優勝チームが全員使っていたモデルです。安くて、軽くて、高性能。ここから「軽量化」の世界へ足を踏み入れました。

④ ”Darmoshark”M3s Varun2k

タケ: 軽さと速さを求めて、ポーリングレート4000Hz(1秒間に4000回通信)対応(別売りのドングルで4K対応)のこれ。1万以下で買えるミドルレンジですが、とにかく軽い。

⑤ Cylox V8 & V6

タケ: これはZAの系譜を継ぐ「後ろこぶ」タイプ。V8はお尻が高く、V6は真ん中が高い。同じメーカーの形違いを買って、センサーの位置(前寄りか後aろ寄りか)がエイムにどう影響するか、数ヶ月かけて検証しました。

この頃から指のホームポジションにも拘りが出始めて、指の位置を固定するためにグリップテープを貼って、ホームポジションをミリ単位で固定するようになりました。

⑥ ”WLMOUSE”BeastX 3950 IceBlueKB

タケ: 中国製のマグネシウム合金。穴だらけで軽さと剛性は最強なんですが、指が穴に引っかかる感覚が合わなくて、今はコレクションですね。日本国内460台の限定商品で、金属なので冬場は冷たくて辛いです(笑)

⑦ 現時点での到達点:”EndGameGear”OP1w4k

タケ: 1年半かけて辿り着いたのがこれです。ZAの系譜で、なおかつ細身で小柄。僕は小さいマウスを指先でコントロールするのが一番合う。結局、自分の神経が一番ダイレクトに伝わるのはこのサイズでした。

*タケさんのマウス遍歴をこちらのサイトでもチェック https://x.gd/mVrnU

マウスによるサイズや高さ比較にこちらのサイトを教えてもらった。https://www.eloshapes.com/mouse/compare?p=at   

タケさんのマウス遍歴

https://x.gd/mVrnU

*ビジネスマンも必見?マウスの生まれつきのタイプ別持ち方診断はこちら。

https://mousenomotikata.fun/4stance-lojic


マ: キーボードについても掘り下げたいんですけど今、部屋に4台ありますが、これ全部現役じゃないんですよね?

① ”VGN”ATK68

タケ:今はもう1台しか使ってないです。最初にお試しで買った3,000円の安いやつは別として、本格的にやり出した頃はバッファローの「銀軸」を買ったんですよ。プロゲーマーが使ってたし、反応速度が一番速いって言われてたんで。あとは単純に「小さい」から。

タケ: これはテンキーがない、いわゆる「60%キーボード」ですね。ゲーマーがなんでこれ使うかっていうと、場所を取らないからなんです。ローセンシ(低感度)設定でやってると、マウスパッドをめちゃくちゃ広く使う(詳しくは後述)。そうなるとね、左側にあるキーボードが邪魔になるんですよ。「場所取らないのが正義」っていう。

マ: そこからさらに買い替えていった。

② ”Razer”Huntsman

最初は「銀軸」の、ちょっと触っただけで下に行くようなバネの弱さがいいと思ってたんです。本来なら下まで押し込まないと反応しないのが普通だけど、銀軸は誤爆覚悟の機敏さがある。でも、所詮はメカニカルなんですよ。「物理」なんです。プラスチックのへたりとか、戻りのラグからは逃げられない。その次、Razerの『Huntsman』にも行きました。あれは赤外線のレーザースイッチ。物理接点がないから速いし耐久性もある。でも……あの甲高い音がちょっと好きじゃなくて、結局買い替えちゃったんですよね。

マ: それで今、目の前にある「重厚なやつ」に行き着いたと。

③ Sikakeyb Castle HM66

タケ: これ、「マグネティックスイッチ」なんですよ。筐体からして金属で重さが全然違うんですけど、仕組みが「磁石」なんです。これがもう、これまでのキーボードとは別次元。

マ: 磁石。何がそんなに違うんですか?

タケ: キーを押し込んだ距離を、キーボード自体が「あ、今何ミリ押し込んだな」って完璧に把握してるんです。これの何が凄いかって、自分で反応点をソフトウェア上で組み替えられるんですよ。「1」のキーは最後まで押さないと反応しないけど、「2」は0.1mm押しただけで反応させる、とかね。

マ: 0.1mm……。想像もつかない世界です。

タケ: さらに凄いのが「離した距離」も把握してること。例えば1mm押し込んで、0.8mmまで戻した時点で入力をオフにする。そうすれば、一番上まで戻さなくても、またちょっと押すだけで反応する。これが「ラピッドトリガー」ってやつで、今もうほとんどのゲーマーがラピッドトリガーに移行してますね。

ただこのキーボードはスイッチがマイナーなスイッチを使っていて互換性が低いのでカスタマイズ性は悪いです。ラピッドエントリー製品としては優秀です。

マ: キーの割り当てというか、物理的な形も独特ですよね。何でスペースキーが3つに分かれてるんですか?

タケ: 「スペースキー、あんなにデカくなくていいじゃん」っていう結果です(笑)。この3分割系は本当に種類が少ないんですけど、僕は真ん中をスペース、左右にページアップ/ダウンとか、別のゲームのスキルを割り当ててる。こうするとね、右手のマウスで敵を狙いながら、左手の親指一本でできることが劇的に増える。自由度が全然違うんですよ。

マ: 配列もJIS(日本語)じゃなくてUS(英語)ですよね。

タケ: そう。やっぱりキーボードって英語圏で作られたものだから、カスタマイズパーツとかスイッチの選択肢が、US配列の方が圧倒的に広い。JIS配列は選択肢も狭まっちゃう。「日本でしか使えないもんね」って話で。僕はCaps Lockをかな入力の切り替えにしてるけど、もうこのUS配列に慣れすぎちゃって、普通のキーボードには戻れないですね。「あれ、ここもスペース? ここもスペース?」ってなっちゃう(笑)。

マ: 完全に自分専用の「武器」に仕上がってますね。

タケ: 正直、キーボードを変えても強さに直結するかと言われれば、マウスほどじゃない。でも、操作してる感覚、自分のやりたい動きができる感覚……そこを突き詰めると、ここに行き着くしかないんです。

*タケさんによるキーボードスイッチについての解説
一般的なビジネスで使うメンブレンキーボードがプラスチックのキーキャップの下にゴムシートみたいなのがありそこを押し込む事でキー入力がされる。安価なのが魅力。
メカニカルキーボードは構造的にキーキャップ、スイッチが独立して基盤についている。重要なのはスイッチと基盤。スイッチの中にあるバネ、入力が認識されるまでの接点の距離(アクチュエーションポイント)が主に重要。他にも静音性や逆に押したときの音、逆に押したときにカチッと指に返ってくる(クリッキースイッチ)等。
Razer製スイッチ、光学式スイッチ(オプティカルスイッチ)。一般的なスイッチは接点と接点がぶつかる事でONとOFFと切り替えるがこれは光によってセンサーが反応する仕組み。物理スイッチと違い接触しないので摩耗しづらく、反応の速さ、チャタリングが少ない。
最後の磁気式スイッチ(マグネットスイッチ)。これも光学式と同じく物理的な接触ではなくスイッチ内の磁気センサーでスイッチの位置をリアルタイムで計測している。そのためどれだけキーを押し込んだかをキーボード側で計測して入力、未入力を判別している。これらを利用して個人で入力設定をカスタマイズできる機能をラピッドトリガーと言います。また磁力は環境による影響を受けやすく温度と湿度によってエラーが起きることもある。


マ: 最後はマウスパッドですね。これ、最初に見たときは「ただの大きな板」というか、正直に言えばデスクを装飾するインテリアかと思いました。

タケ: これはガラス製のマウスパッドで、2万ぐらいだったかな。普通の人からすれば「なんで板に2万も出すの?」って世界ですよ。でもローセンシ(低感度)ゲーマーにとって、マウスパッドは「ただの敷物」じゃない。「地面」そのものなんです。地面がぬかるんでたら、まともに走れないじゃないですか。

マウスの下に敷いているのが「ガラス製のマウスパッド」。

マ: 地面、ですか。そう言われると説得力がありますね。。以前は、主流の布製を使っていたんですか?

タケ: はい。SteelSeriesとかの定番の布パッド(ソフトパッド)を何枚も潰してきました。布はね、最初の方はいいんですよ。適度にマウスのソールが沈み込んで、ピタッと止まる。でもね、布には「寿命」と「湿気」っていう、どうしようもない欠陥があるんです。

マ: 寿命と湿気。具体的にどう困るんですか?

タケ: まず湿気。これがもう最悪で。日本の夏なんて特にそうですけど、雨の日とか、自分の手汗を吸っただけで、マウスの滑りが急激に重くなるんです。昨日まで「スッ」と動いていた感覚が、今日は「ズズッ」と泥の中を引きずっているような感覚になる。これ、FPSやってる人間からすると、ストレスで気が狂いそうになるんですよ。「エイムが悪いのは自分の腕のせいなのか、それとも湿気のせいなのか」って、疑心暗鬼になる。

マ: 毎日コンディションが変わってしまうのは致命的ですね。

タケ: そう。だからプロは1ヶ月とか、早い人は数週間で布パッドを捨てて新品に変えるみたいです。でも、自分にとっては経済的にもですが、「昨日と同じ感覚」を維持するのが難しすぎる。そこで辿り着いたのが、この「ガラス製マウスパッド」なんです。

マ: ガラスに変えて、何が変わりましたか?

タケ: 全てが変わりましたね。まず、湿気の影響が「ゼロ」なんです。冬だろうが梅雨だろうが、手汗をかこうが、滑り心地が1ミリも変わらない。いつでも、何度でも、同じ摩擦係数を提供してくれる。この「不変の安心感」こそが、価値なんです。

マ: さっきから気になっていたんですけど、このマウスパッド、サイズがおかしくないですか?下手したらモニターと同じくらいありますよね。

タケ: ああ、これね。初めて見る人はみんな「サイズがおかしい」「明らかにこんなに大きくなくていいだろ」って言いますよ。

タケ: 普通はこんなサイズいらないと思いますが、ゲーマーにとっては、これが必要なんです。特に僕は「ローセンシ(低い感度)」でプレイしているから。

マ: 感度が低いと、それだけ動かす距離が増えるということですか?

タケ: そういうことです。FPSっていうのは、右手でマウスを動かして視点を変えるゲームでしょ。例えば、右を向くのにマウスを2cm動かせばいい設定(ハイセンシ)だと、後ろを向くには4cmで済む。でもね、その設定だと敵が目の前に来た時に、ほんの数ミリ、髪の毛一本分のズレでエイムが外れちゃうんですよ。人間、そんな正確な動きを完璧にやるのは無理です。

マ: なるほど。だからあえて「感度を下げる」んですね。

タケ: そう。後ろを向くのに15cm、20cmってマウスを大きく動かす設定にすれば、その分、敵を狙う時の細かい操作の「幅」が広がる。大抵の人は、そうやって動作を大きくしないと精密なエイムについていけないんです。

マ: つまり、その「大きな動作」を受け止めるための地面が必要だと。

タケ: そういうことです。腕を大きく振り回すから、マウスパッドもこれだけ巨大になる。で、そうなると今度は、左側にあるキーボードが邪魔になってくる。だからキーボードは「場所を取らない60%サイズ」が正義になる……全部繋がってるんですよ。

タケ:とはいえガラスが明確な正解ではないです。ゲームタイトルや個人の資質、デバイスの相性によってはメリットがデメリットになる。ガラスの明確な強みは摩擦が少なく、環境変化に強い、摩耗しない、外的刺激による物理的な変化がないことですが、一方で布の強みは表面層、中間層、下地等で好みの摩擦力、柔らかさを変えれることです。
布が変化したりすることは一見デメリットに見えるがその変化の度合いを個人で把握、コントロールできれば明確な強みになります。例えば表面をなぞるように滑らせればマウスの素早い動きができ、力を入れて押し付ける様に止めれば止めたいタイミングで素早く止める事ができる。
個人的に好きなゲームがトラッキングエイム(追いエイム)を多用するFPSなのでガラスがあっていただけで布の方がいいゲームもいっぱいあリます。

タケ: でもね、これで終わりじゃないんです。右手のエイム、左手のキャラコン、その足場は固まった。じゃあ次は、敵がどこにいるかをミリ単位で聞き分ける「音」……

個人的にはゲーム時はイコライザを調整して足音だけ聞こえやすくしてるので音に拘ってるというより見た目とパケ買いの衝動買いから始まったのですが、、

そう、イヤホン沼が待っています。

・・・そう言ったタケさんの部屋にはまだ開封していない物も含めて多くのイヤホンがあったのだった。。

編集部

K2インターナショナルグループから放たれた現代社会への刺客。書類上は七人で構成されていることになっているが、実態は謎に包まれている。組織のモットーは『節度ある暴走機関車』。