郵便で世界が動いた頃――『蓬莱学園』を語る!

今回の“オタ語り”は、令和の若者にはちょっと信じがたい「郵便でRPGが進む」世界――伝説のプレイバイメール(PBM)『蓬莱学園』です。
きっかけは、高橋名人の“お宝が並ぶ部屋写真”で、蓬莱学園の書籍にしんたくんが「うおお!?」と食いついたところから、座談会が始まりました。

登場人物プロフィール

ゲーム業界から転身して若者支援に携わり20数年。 TRPG界隈は30年以上のファン。
アニメ、ゲームなど幅広い知見の持ち主。

居場所支援スタッフ。
TRPG歴は存在を知ってから42年、実際にプレイできてからなら40年。
不登校・引きこもり歴は23年。
その豊富な知識と経験は他の追随を許さない。

氷河期世代の元ニート。
色々教えてもらおうと進行をつとめるはずだったが、
盛り上がった話についていけず途中から完全に空気化する。
『蓬莱学園』って何?~太平洋の島に“10万人”の巨大学園~

そもそも蓬莱学園ってなんですか?

一応、東京都ではあるんですけど、太平洋の南に、伊豆諸島とかより、さらに南のところにある島に蓬莱学園っていう巨大学園があるという設定のゲームなんですよ。1990年に遊演体が手がけた作品です。
自由度が肝のゲームでしたね。学園で大事件が起きても、部活だけ満喫して一年を終えるのもアリですし、事件に深く関わればミニ小説経由で世界が動く実感がありました。

学園ものなのに、スケールがでかいなあ。

例えば生活指導部(SS)の“クーデター”ですとか、学園がフリゲート艦を運用して海を見張ってたり、みたいなこともありました。フィクションならではですよね。

当時やりたくてもやれなかった勢としては、いま聞いてもわくわくするわぁ…。
郵便で動く世界。特徴は “自由行動欄”

このゲームは、プレイバイメールっていうタイプのゲームで、このメールって電子メールじゃなくて郵便でやるゲームなんですよね。

ええ!?郵送でやるゲームなんですか!?

最初に資料が郵送で届いてキャラクターの設定を自分でするんですね……全部手書きで。名前決めて、性別決めて、送られてくる資料にむちゃくちゃこの所属できる部活動のリストがあって、それに入ってとか。そうすると最初の月にはこのキャラクターの出だしの部分が送られてくるんですね。
このキャラクターがどういう行動が取れるかっていうのがリストである程度まとまっているので、そこから選んで送ると、次の月には郵便が返ってくると。

特徴的なのが自由行動欄で、こういう行動を取りますっていうのを自由に書けるんです。でもこれが意味のある行動になる率は極めて低い。でもそれがうまくゲーム全体の進行や、蓬莱学園に隠された謎に迫るような行動だと、この蓬莱学園の世界のイベントに影響を与えたっていう、ミニ小説みたいなのが送られてくる。
やれる人が限られていた。

ぼくも当時やりたいなと思ってて。でもお金なかったから、やれなくって心残りだったんですよね。

1年間で1万2000円かかるし、わたしも、当時は参加できてなくて、友達がやっていたのを聞いてましたね。ヘビーユーザーたちは10人ぐらいで運営から送られてきた結果を送り合っていたようですよ。
その時代、なんていうのかな神と呼ばれるのは個人でファクシミリ持ってるやつで……もう情報の速度が違うっていう(笑)。

周りになかなかやっている人いなかったと思うんだけど、どうやってやっている人と出会ってたんでしょうね。

蓬莱学園をやっているユーザーたちが、自分たちで蓬莱学園のイベントをやると。
ゲーム雑誌のタクティクスとかの巻末にイベント情報、サークル情報とか出せるから、そこに「このサークルやっているので連絡ください」みたいなのを出すと。
今とはもう全然違って、住所を出しちゃうんですよね。

時代を感じますね。。
そういえば、大学受験の時に東京出てくるっていうんで……東京には専門店にあるらしいって聞いて行ったもんね……すごい地方格差があったんだよね。
参加者からクリエイターへ――“蓬莱閥”

そういえばこのゲームのグランドマスターって呼ばれる、一番偉い人、新城カズマさんが小説書いているんですけど……蓬莱学園の冒険とか蓬莱学園の初恋とか。読んでました?


ありましたねぇ!!
ぼく、いまだに覚えているセリフありますよ。蓬莱学園の初恋の。

「朝食のパンはマーガリンを塗った側が下になって床に落ちるのだ」というやつじゃないですか?

おおお!!それそれ!! え、なんでわかったの!?

いや、蓬莱学園の初恋で名ゼリフがあるって言ったら、まあその辺を抑える必要あるじゃないですか。

普通わかるかな、それ(笑)

ベアトリス・香沼さんですね。
他にも、運営会社の遊演体に所属していたのは星空めておさん、茗荷屋甚六さんとか有名ですね。
いま・再始動の気配

蓬莱学園は最近も何か動きあるんですかね?

「蓬莱学園の冒険!!」TRPG版がPDF公開されたんですよ。
https://jpbma.or.jp/ (日本PBMアーカイブスホームページのアーカイブコーナーから)
こちらの写真は私物ですが、PDFを落とせばどなたでも遊べます!




おお、懐かしいなぁ。。(泣)

あと、蓬莱学園の新作小説を4gamer.netで、今ちょうど連載中です。
4gamer.netの記事はこちら


これ反応してる人たち、おじさんだけだよね。(笑)

いやー、今日はすごく楽しかったなぁ。当時、蓬莱学園に参加できなかったのがずっと心残りだったんだよねぇ。お話できて、当時のことを思い出したりとか、楽しかったです。

こちらこそなかなか語る場がないので楽しかったです。
また読んでください。

えっと、、
こうしておじさん達の青春は蓬莱学園と共にまだまだ続いていくのであった。