都市型狩猟採集のススメ・わかめ編~現代のタダメシ探訪記~
いやーこう鳥が優雅に飛んでるようなのどかな日にヨォ…
ふわっふわのシフォンケーキに合わせるとしたらヨォ…
採れたてのわかめとみそ汁しかねぇよなぁ~~~~~!?
わかめが無料で食えると聞いて
というわけで今回は湘南・由比ヶ浜にて「わかめ拾い」に挑戦してきました。
3月頃に由比ヶ浜に打ち上げられたわかめは形を保っているものが多く、そこまで気温が高くないため鮮度もほとんど落ちていません。下処理をしっかりすれば十分食べられます。
ガッツリ拾って溜め込めば、好きなだけわかめを楽しめる日々がやってくるというわけです。
近隣にお住まいの方はぜひチャレンジしてみてください!
(地域によっては浜辺に打ち上げられたわかめの採取も禁止されている場合があります。また慣例的に問題ないとされている地域であっても、漁業権の侵害と判断された場合、警告または罰金の可能性もあるので、過度な採取は控えましょう)
To Do リスト
0.わかめ拾い用の装備を整える。
1.由比ヶ浜でわかめを拾う。
2.拾ったわかめの葉部分を切り取り、よく洗う。
3.鍋に湯を沸かし、わかめを10~20秒程度茹でたら、すぐに取り出して水で冷やす。
4.海に感謝しながら好きな味付けで食べる。
(以下は保存用の手順です)
5.冷やしたわかめをよく絞って水気を切り、ジップロックなどのビニール袋に入れる。
6.塩を加えて揉み込み、水が出てきたら捨てる(2〜3回繰り返す)。
7.揉み込んでも水が出なくなったら、塩を加えて冷蔵庫で12時間〜24時間程度寝かせる。
8.水分が浮き出てきたら再度よく絞り、塩を加えて冷蔵庫または冷凍庫に保存しておく。
装備に関して、わかめを拾うだけなら素手・素足でもいけますが、脱いだ靴や荷物を持って足の洗い場まで行くのは思ったより面倒でした。
なので、足が汚れないよう長靴を履くか、砂で汚れたまま履けるサンダルなどを用意するのがオススメです。
またわかめが結構重いため、コンビニやスーパーの手提げ袋などで持って帰るのは体力に自信がある人向けになります。
徒歩移動がメインなら、ビニール袋に入れたわかめをリュックサックなどに入れ、キャリーカートなどにくくりつけて運んだ方が翌日、あるいは翌々日の筋肉痛がマシになると思います。
準備が整ったら、いざ出発です!
わかめ潮流
まずはわかめを拾わなければ始まりません。
JR線『鎌倉』駅から江ノ島電鉄に乗り換え、『由比ヶ浜』駅から由比ヶ浜に向かいます。
この日は風が強く、沖からわかめが漂着しまくりで、大漁・大量・大勝利確定の日でした。
こんな感じの根・茎・葉がほぼそのままの立派なわかめがゴロゴロあって、「これ無料で持って帰っていいんかな・・・訴えられたりせんかな・・・」と不安になるレベルです。
(なおわかめは藻類なので、厳密には根・茎・葉という部位の区別はありませんが、分かりやすさ重視ということで以降もご容赦ください)
このままだと洗うのも茹でるのも大変なので、キッチンバサミなどで切り分けていきます。
一般的なイメージとしての『わかめ』部分である葉だけでなく、茎や根、いわゆる『茎わかめ』や『めかぶ』部分もちゃんと食べられます。
ただ葉に比べると細かく刻んだり、水につけて生臭さを取ったり、やや丁寧に仕込みを行わないとクセが残りやすい部位なので、ある程度わかめ拾いに慣れてからチャレンジすることをオススメします。
(筆者はこの日、葉を食べられる状態にした時点で力尽きました)
ちなみに今回はサバイバル企画でおなじみの『miwa』さんと、わかめ拾いのきっかけとなった『謎の先輩ワカメイトXさん』の指導の元、砂浜で作業を行っています。
単独でわかめ拾いをする場合は、海水でざっとわかめを洗って持ち帰り、自宅のキッチンや風呂場で作業した方がやりやすいと思います。
拾ったわかめを鍋に入れられる大きさに切り分けたら、水で洗って砂を落とします。
切り分けている時、煮る前のわかめらしからぬ色(赤とか緑とか)をしている部分があったら、取り除いておきましょう。
煮る前のわかめはお世辞にも美味しそうな色合いではありませんが・・・。
なんということでしょう、さっと茹でるだけで鮮やかな緑色に!
軽く湯がいたら水で冷やして出来上がりです。拾ってすぐに食べられるとか神かよ・・・。
わかめを食らう
早速頂いてみます。
最初にそのまま食べてみると、市販の乾燥わかめに比べて歯ごたえが段違いです。
コリコリとした食感が茎わかめやおしゃぶり昆布を彷彿とさせますが、さすがに湯がいただけだと味が全然しないので、味噌を付けて食べてみると・・・。
美味いじゃないか・・・
美味いじゃないかぁーーーーーーーーーー!
(※画像はイメージです。海に向かって叫んだりせず、普通に座って食べてます)
調味料を足すことで食感と味わいが口の中で長く楽しめるようになり、
一気に副菜やおつまみ感が出てきました。これにはトンビも群がってくるわけです。
(看板で注意喚起されてますが、ほんとにトンビが多いので、見えやすい位置に食べ物は置かない方がいいです。前後左右+上方に全く遮蔽物がないと特に危険)
こちらは横浜市金沢区にある野島海岸で取れたあさりのみそ汁。
わかめと組み合わせると、磯の香りとあさりのダシが相まって、漁港付近の定食屋で味噌汁を飲んでいる気分になれます。
他にも謎の先輩ワカメイトXさん持参の『茎わかめの佃煮(画像右下)』と『わかめのにんにく炒め(画像左下)』もいただきました。
特にわかめのにんにく炒めは、ごま油・にんにく・めんつゆで炒めるだけのシンプルな一品ながら、お箸が止まりません。食べ過ぎてヨウ素過多になる可能性大です。
(なお、ヨウ素を取りすぎると甲状腺機能低下症になる可能性があるので、くれぐれも食べ過ぎには注意してください。ほんとに悪魔的美味しさなので・・・)
わかめをしまっちゃおうねぇ
さて、美味しく頂いた後は加工タイムです。
茹でる前の生わかめはせいぜい1日、茹でた後冷蔵庫に入れても2~3日しか持たないので、何らかの保存処理をする必要があります。
生わかめを日持ちさせる方法は大きく分けて、
・生わかめのまま冷凍する
・塩蔵わかめにして冷蔵する
・乾燥わかめにして常温で保存する
の3つです。
スペースに余裕があれば、湯がいた生わかめを↑こんな風に小分けにして、冷凍庫に突っ込んでおくのが一番手っ取り早いです。
汁物や煮物であれば冷凍庫から出してそのままドボンでOK。炒め物やサラダのトッピングに使えば、乾燥わかめと異なり歯ごたえがあるので満腹感マシマシです。
ただ、我が家の冷凍庫は冷凍食品をはじめとして、2Lアイスやシーフードミックス、鶏肉ジャンボパック・豚ヒレ豚バラ豚ロースの半額パックなどで常にパンパン。むしろ冷凍庫単体で欲しいぐらいの勢いなので、全部冷凍はちょっと厳しい・・・。
(上記の小分け6パックで既に600gほどありますが、まだ1kg近く残っていました)
天日干しなどで乾燥わかめにすれば一番省エネ・省スペースだと思いますが、
・干すための道具やスペースや確保するのが大変
・鳥害や虫害対策をする必要がある
・そもそも自宅の日当たりが悪い
と、これまた悪条件が重なっているので、塩蔵わかめとして保存することにしました。
ジップロックにわかめと塩を入れて揉み込むと、すぐに水が出てくるので一旦捨て、塩を加えて再度揉み込みます。
揉み込んでも水があまり出なくなったら、塩を加えて冷蔵庫に半日~1日程度置き、浮き出た水分をその都度絞って、カピカピにしていきます。
塩の量は毎回目分量で問題ありませんが、謎の先輩ワカメイトXさん曰く『塩はケチケチしない方がよい』とのことなので、2回目以降は塩の粒が残るくらいにドバドバ入れました。
後で調べたことですが、一般的な塩蔵わかめは塩分含有量40%が目安だそうです。基本的に食材を長期保存をする際はしっかり水分を抜いた方が長持ちするので、個人的にはやや多めにしておく方が無難だと思います。
絞っても水が出なくなった、1週間後くらいのわかめがこちらです。
黒っぽい乾燥わかめと異なり、まだ緑色が残っており、ほんのり磯の香りがします。
このままだと塩分高すぎなので、水にさらして塩抜きしてから料理に使って下さい。
(調味料をつけてそのまま食べたり、酢の物にする場合はしっかり塩抜きするべきですが、炒め物の具に使ったりする場合は適度に塩分を残せば調味料いらずです)
冷蔵でも3ヶ月、保存状態がよければ6ヶ月くらい保つらしいですが、ヤバいくらいヌメる・尋常じゃなく臭う・異様に赤茶けている場合は、潔く捨てましょう。
お店で販売されているものと違って保存状態が一定ではなく、思った以上に雑菌が残っていたりするので、衛生管理には十分気をつけて下さい。
君もワカメイトになろう
仕込みに時間こそかかりますが、何と言っても元手0円なのでお得感満載です。
(交通費の関係もあるのでさすがに神奈川県外からだと労力的に厳しいですが)
人がまばらな分落ち着きがあり、夏とは違う意味で春の海もいい雰囲気でした。
わかめ拾いは専門的な道具がなくても、拾える場所さえ分かっていれば気軽にできるので、わかめをもりもり食べたくなった方は是非由比ヶ浜にお越しください。
ひょっとしたらあなたの後ろに筆者がいるかもしれません・・・フフフ。