推し活で人生変わった話
2026年8月4日

配信から始める“推し探し”──地下アイドルの歩き方 第2章 推しの見つけ方

編集部

地下アイドルの歩き方 第2章『推しの見つけ方』のコラージュ風サムネイル

ぷに:けろくん、前回の第1章お疲れさま。地上と地下の違いとか、対バンとか特典会とか、一気に話したけど頭に入ってる?

けろ:なんとか。稼働してるグループが1,000組以上いるって話、あれ衝撃でしたよ。あと、ぷにさんが配信でお目当ての子を見てて、そのあと別の子の配信もたまたま見て気になって、その子が地下アイドルとしてデビュー告知して、デビューから追いかけたのが最初の現場、って話で前回終わったんですよね。

ぷに:そうそう、ちゃんと覚えててくれて助かる。で、今日のテーマはその続き。「じゃあ自分はどうやって推しを見つけたらいいの?」って話。読者の方の中にも、界隈は気になるけど入口が分からないって人、多いと思うんですよ。

けろ:はい、まさに僕がその状態です。ライブ配信はたまに見るけど、地下アイドルって言われるとどこから手をつけていいか……。

カフェでスマートフォンを見ながら地下アイドルについて話す二人のイメージ
※記事内容をもとにしたイメージ画像。実在の人物・イベントではありません。

推しを見つけるルートって、実はけっこうある

ぷに:まず大前提として、推しを見つけるルートって一つじゃない。自分の周りで聞く限りでも、人によって全然違うんだよね。ざっくり表にするとこんな感じ。

ルート特徴初心者向き度
配信(SHOWROOM、17LIVE、ツイキャス、YouTube Live)無料で長時間、コメントで絡める★★★★★
X(旧Twitter)告知・日常・自撮り、情報のハブ★★★★☆
TikTokレコメンドで似た子が流れてくる★★★★★
Instagramビジュアル・オフショット中心★★★★☆
YouTube(MV・ライブ映像)楽曲やパフォーマンスで刺さる★★★★★
対バンで偶然出会うお目当て以外を浴びる★★★☆☆
友人の紹介現場のマナーも教われる★★★★★

けろ:こうして並べると、意外と無料で完結するルートが多いんですね。

ぷに:そうなんだよ。俺自身、最初は配信から入ったし、地下に足を踏み入れる前の段階なら、ほぼお金かからない。まずはこのへんを何週間か眺めてみるのがいいと思う。

けろ:この中で、ぷにさんの一番のおすすめはどれですか?

ぷに:俺はやっぱり配信だね。配信って基本リラックスしておしゃべりしてるから、どんな感じの子かがすぐ分かるんだよ。しゃべり方から人の好さがにじみ出てる子もいれば、いい意味でクソガキな子もいてさ(笑)。

けろ:クソガキ(笑)。それ、褒めてます?

ぷに:めちゃくちゃ褒めてる(笑)。あとは話してる内容に好感が持てるか、逆にちょっと退屈か、みたいなのも配信だと素で出る。それで「この子いいな」って思えたら、いよいよライブ参戦!

けろ:配信で見極めてからライブ、って流れなんですね。

ぷに:そう。しかも配信で「次の、いついつのライブ行くよ」って先に伝えておくと、向こうも楽しみにしてくれるし、当日「本当に来てくれた〜!」って喜んでくれたりするんだよ。あれが嬉しくてさ。

けろ:行く前から繋がれるの、いいですね。

ぷに:そうなんだよ。だから初心者の人には、まず配信から、って勧めてる。

自宅でスマートフォンのライブ配信を視聴する様子のイメージ
※記事内容をもとにしたイメージ画像。実在の人物・イベントではありません。

けろ:TikTokって、アイドル探しにも使えるんですか?

ぷに:使えるっぽい。あのアルゴリズムが優秀で、一回それっぽい動画を止めて見ると、似たテイストの子をどんどん出してくるらしいよ。俺の知り合いもTikTok経由で推しを見つけたって言ってた。逆にXは、すでに気になる子が一人いるならフォローすれば芋づる式に広がる。

けろ:入口の広さと、そこからどう広げるかで使い分けるんですね。

ぷに:あと、もう現場に行く気があるなら「対バン」もおすすめだよ。前回話した、複数グループが出るライブね。パフォーマンスとか楽曲とか、あとは自分へのレス——目線をくれたり指さしてくれたり——を、その場で直接浴びて「いいな」って思える子を見つけられる。

けろ:生で一気に何組も見られるんでしたよね。

ぷに:そうそう。しかも大概のグループは初回の特典が無料で、チェキや写メを撮ってお話しできたりするんだよ。だから気になったグループやお目当ての子と、まずは”無銭”——お金をかけずに——接触できる。最初のハードルがすごく低いんだよね。

けろ:無料で話せるところから始められるのは安心です。


「気になる」が「推し」に変わる瞬間

けろ:で、気になる子を見つけた後、どこで「この子推そう」って決まるんですか?

ぷに:これがね、人それぞれなんだけど、俺の周りでよく聞くパターンはいくつかある。

一つは、生で見たときのインパクト。配信で見てた子を初めて現場で見ると、化ける子がいるんだよ。画面越しには伝わらない表情とか、声の張りとか、汗かいてる姿とか。

けろ:配信で好きだった子が、現場で別人みたいに見えるってことですか。

ぷに:そう。最初の推しがまさにそれで。配信ではふわっとした印象だったのが、ライブだとめちゃくちゃダンスがうまいし声量出るタイプで、初めて現場で見たとき正直びっくりした。

小規模ライブハウスでステージを見つめる観客のイメージ
※記事内容をもとにしたイメージ画像。実在の人物・イベントではありません。

けろ:ギャップで一気に持っていかれた感じですね。

ぷに:もう一つは、特典会で名前を覚えてもらえた瞬間。前回話したチェキ会ね。

けろ:あ、前回のやつですね。

ぷに:2回目か3回目に行ったときに、向こうから「来てくれたの覚えてるよ」って言われると、単純だけどグッとくる。それだけでも嬉しいんだけど、さらに自分の名前をぱっと呼んでくれたりすると、もうこれが効くのなんの(笑)。「え、覚えててくれたんだ」って一気に距離が縮まった気がする。あとはSNSで見える素の顔。ステージ上とのギャップで刺さる人も多い。

けろ:楽曲から入るパターンもありそうですよね。

ぷに:あるある。サビのフレーズとかコールの気持ちよさで沼る人もいる。ただ、楽曲きっかけだと、メンバーが卒業したときのダメージが意外と軽いって話も聞くな。


単推し・箱推し・DD、どれがいいの問題

けろ:前回出た単推しと箱推しとDD、あれって最初にどれか決めるものなんですか?

ぷに:いや、決めなくていいと思う。ていうか、やってるうちに自然とどれかに寄る感じ。一応メリットとデメリットを整理するとね。

  • 単推し:一人に集中するから関係性が深まりやすい。ただし、卒業したときのダメージがでかい
  • 箱推し:グループ全体を応援するから、メンバーの入れ替わりに強い。ただし一人一人との関係は浅くなりがち
  • DD:複数グループ掛け持ち。常に楽しい現場がある。お金と体力の消耗が激しくなりがち(ただし関わり方しだい。下記)

けろ:DDって、お金すごくかかりそうですね。

ぷに:そう思われがちなんだけど、実は人によるよ。”ご新規無料”——さっき出た初回の無料接触ね——とか、リリイベ(リリースイベント)メインで回って、あんまりお金を使わずに掛け持ちを楽しむタイプもいる。まあ、俺みたいに沼ると溶けてくんだけどさ(笑)。

けろ:同じDDでも、関わり方しだいなんですね。じゃあ、ぷにさんはどれなんですか?

ぷに:俺は基本ずっと単推しなんだけど、正直に言うと、最初の推しが卒業しちゃってからは同じグループ内の別の子を応援してる。だから単推しを継続してる、って感じかな。

けろ:あ、最初の推しの方はもう卒業されてるんですね。

ぷに:うん。2年やってると、もう何度も卒業を見送ってきてて。同じグループの中だけでも、結構な人数になる。これは避けられない部分かな。

けろ:単推しって、いわゆる「ガチ恋」ってやつですか?

ぷに:あ、そこは分けて考えた方がいいかも。単推しの中でも、ガチ恋かそうじゃないかで、けっこう色が違うんだよ。

けろ:ガチ恋……文字通り、ガチで恋してるってことですよね。

ぷに:そう。だからこそ卒業のダメージは一番でかい。それがきっかけでヲタク自体を卒業しちゃう人もいるくらい。あと、ガチ恋だと当然やきもちも焼くから、正直、病みやすい一面もあるんだよね。

けろ:けっこうしんどそうですね……。

ぷに:うん。でもね、これは俺の本心なんだけど、ガチ恋でしか得られない栄養って、間違いなくあるんだよ。あの熱量込みで楽しんでる人を、軽々しく否定はできない。

けろ:なるほど……。逆に、ガチ恋じゃない単推しは?

ぷに:そっちは、同担——同じ子を推してるオタク仲間ね——とも仲良くなって、わいわい楽しく推してる人が多い印象。どっちが正解ってわけでもなくて、自分に合う距離感を見つければいいと思う。

けろ:ここでも「自分のペース」なんですね。


ぷにさんのリアルな体験談

けろ:さっきの「同じグループの別の子に」って、どういうきっかけだったんですか? 推し変って、なんか勇気いりそうで。

ぷに:あ、そこは大事なとこでね。そもそも”グループ内推し変”——同じグループの中で推しを変えること——って、オタクの中では「絶対にやっちゃいけないこと」の一つって言われてるんだよ。

けろ:えっ、同じグループならむしろ自然かと思ってました。

ぷに:それが逆なんだよね。まあ、タブーとはいえ、やっちゃう人もたくさんいるんだけど(笑)。なんでダメかっていうと、自分が気まずいのは当然として、メンバー同士が気まずくなっちゃうことがあるから。だからそこは避けるべき、っていうのが暗黙のルールなんだ。

けろ:なるほど……。じゃあ、ぷにさんの場合は大丈夫だったんですか?

ぷに:うん、俺のは推し変っていうより、最初の推しが卒業したあとの話だからね。現役のうちに乗り換えたわけじゃないから、そこはセーフ。グループ自体はずっと好きだったから、他のメンバーの配信はちょこちょこ見てたんだよ。

けろ:あ、卒業されたあとだから、推し変とは違うんですね。

ぷに:そういうこと。でね、そしたらある時、配信で「おやすみのあいさつ」を誰が一番乗りでするか、みたいなゆるい競争がファンの間で始まったりして(笑)。そういうので絡んでるうちに、だんだん楽しくなってきたんだよね。

けろ:特別なきっかけっていうより、ゆるい繋がりからなんですね。

ぷに:うん。で、ある日その子のオンファを買ったんだ。

けろ:オンファ、ですか? 初めて聞きました。

ぷに:あ、ごめんごめん。オンファっていうのは「Only Five」っていうサービスのことでね。詳しくはまた機会を見て話すけど、簡単に言うと、写真や動画が発売されて、買えるのは先着の5人だけなんだ。写真なら後日、自分だけのメッセージを書き込んだものが送られてくるし、動画なら自分に向けたメッセージ動画が届いたりする。

けろ:5人限定で、しかも自分宛てのメッセージ……それは特別感がすごいですね。

ぷに:そうなんだよ。で、そのオンファに書いてあった言葉が、嬉しいことばっかりでさ。「あ、この子を応援してあげたいな」って、すごく自然に思えたんだよね。

限定のインスタント写真を手に取る様子のイメージ
※記事内容をもとにしたイメージ画像。実在の人物・イベントではありません。

けろ:その一言一言が効いたんですね。

ぷに:そうなんだよ。だから推し変っていうより、ゆるく絡んでるうちに、気づいたら応援したくなってた、って感じが近いかな。

けろ:いい話ですね……。

ぷに:あともう一個、失敗談もしとく。俺、1年目の途中で、対バンでたまたま見た別のグループに刺さっちゃって、一時期3グループくらい掛け持ちしたことがあるのよ。

けろ:DDですね。

ぷに:そう、完全にDDモード。そしたら、平日は配信追って、土日は現場行って、金もどんどん溶けて、気づいたら「楽しい」より「行かなきゃ」になってた。これはよくなかった。掛け持ちは楽しいんだけど、自分のキャパ超えると逆に全部のグループに失礼になる気がして、一回整理した。

けろ:義務感になっちゃうと本末転倒ですもんね。


無理のない始め方

ぷに:ここは読者の方に向けて一言だけ言っとくと、最初は本当にゆっくりでいいと思うんですよ。

けろ:具体的にはどんな感じがおすすめですか?

ぷに:俺の周りで、長く続けてる人ほど言うのが三つあって。

一つ目は、最初の1〜2ヶ月は配信中心でいいってこと。無料で長時間見られるし、人柄も分かる。月1回くらい現場に行ければ十分。

けろ:いきなり毎週現場、ではないんですね。

ぷに:そう。二つ目は、月の予算を先に決めておくこと。チェキも物販も、現場の熱気の中だと判断が鈍るから、「今月はここまで」って決めとくと後悔しない。ライトに始めるなら、月5千円から1万5千円くらいの人が多いって聞く。

けろ:「現場の熱気で判断が鈍る」って具体的にどういう状況なんですか?

ぷに:あー、たとえばライブでめちゃくちゃ盛り上がった直後の特典会だと、「もう1枚撮っちゃおう」「物販これも欲しい」って気が大きくなりがちなんだよ。冷静なときの自分なら絶対選ばない判断をする。だから事前に上限を決めとくのが安全。

けろ:なるほど、テーマパークでテンション上がって財布緩むのと同じですね。

ぷに:(笑)。まさに。三つ目は、「楽しい」が続くペースを守ること。毎週行かなきゃとか、全公演参加しなきゃとか、そういう義務感が出たら一回休むのが長続きのコツらしい。

けろ:推し活って、始めるより続けることの方が大事なんですね。

ぷに:そうそう。あと、卒業とか活動休止は正直必ずあるから、メンタルの心構えも少しだけしといた方がいい。悲しいけど、それも含めて地下アイドルの物語って感じかな。


次回予告

けろ:今日で、推しを見つけるルートと、自分のペースの作り方はなんとなく掴めた気がします。

ぷに:よかった。次回の第3章は、いよいよ「初めての現場へ行く前に」。チケットの取り方とか、当日の流れとか、持ち物とか、俺が一回目に行ったときに「これ知ってれば良かった」って思ったことを全部話そうと思ってる。

けろ:それ一番聞きたいやつです。現場デビュー前の不安、全部ぶつけますね。

ぷに:お手柔らかに。あ、でも一個だけ、次回までにできるなら気になる子の配信を一つでも覗いといてもらえると話が早いから、それだけ宿題にしとくね。

けろ:宿題ですか(笑)。やっておきます。それではまた次回!

編集部

K2インターナショナルグループから放たれた現代社会への刺客。書類上は七人で構成されていることになっているが、実態は謎に包まれている。組織のモットーは『節度ある暴走機関車』。