【ネタバレあり】『閃光のハサウェイ キルケ―の魔女』対談——イマジナリーとギギを語る

——イマジナリーとギギを語る(ネタバレあり編)
前回からの続き。その後、マッシャーとしんたくんも「閃光のハサウェイ キルケ―の魔女」を視聴し、今回はネタバレありの感想戦が行われた。ガンダム通のマサヒデと、観る前に解説してもらったマッシャーが加わり、最終決戦の衝撃からギギという謎の存在まで、語り尽くした。
今回はネタバレありで——全体の感想から
今回は「閃光のハサウェイ」2作目の感想戦です。前回の対談は公開直後だったのでネタバレNGでお届けしたんですけど、今回はしんたくんもマッシャーも観てきたし、公開からも時間が経ちましたので——ガッツリネタバレありでいきたいと思います!
ようやくですね(笑)。前回は言いたいことを抑えながら話してたので。
まず全体の感想からいきましょうか。ぼくはギギ推しなんだけど、今作はギギの描き方がすごく丁寧でしたね。小説を読んでいたときはよくわからなかったところが、映画になってリアリティを持って描かれているなと感じました。

特にどのあたり?
例えば、高級アパートを過ごしやすくセッティングするところとか、プロフェッショナルの愛人として——そういう存在としての立ち振る舞いが、映画では映像でちゃんと伝わってくるんですよね。
確かにそこは映像の強みですよね。
マッシャーはどうでしたか?
私はそもそも知識がゼロだったので、マサヒデに事前にポイントを解説してもらってから観に行ったんですが、知った上で観ると全然違いますね。人間ドラマがすごく深くて。設定とか関係図を把握した上で観ると、あのシーンがこういう意味だったのか、って気づきが多くて楽しめました。
それは良かった!じゃあ今日は思い切り深掘りしていきましょう。
最終決戦——アリューゼウスの正体
じゃあまず、ネタバレなしで一番の見どころといえばどこですか?
やっぱり最終戦のバトルシーンですね。まずアニメオリジナルのメカが出てくるわけですよ。

中にν(ニュー)ガンダム入ってたよね。
そう、アリューゼウスっていうので、中に量産型のνガンダムが入ってる。あれはすごい驚きでした。
あれはマサヒデ、初めて観たときどんな印象だった?
まず最初にすごい大怪獣みたいなのが出てくるわけですよ。アリューゼウスのシルエット的にも全然モビルスーツではなくて。「これは何?」っていう感じで観ていて、途中で外装がほとんどなくなって、νガンダムみたいなシルエットになったわけですよ。そこで迷うんですけど、最後取っ組み合いになったところで——「これはやっぱりνガンダムじゃないか!!」となって、そこがすごい衝撃的でした。
最初混乱しなかった?「これはいったい何が起こっているんだろう」ってさ。
もちろん混乱もしました(笑)。
イマジナリーアムロ——ハサウェイの脳内だけの存在

あのシーン、イマジナリーアムロと戦ってるわけですよ。あそこが多分ガンダム作品では珍しくて。これまでのガンダムでは「刻」の向こうにいる、例えばララァと会話したりとか、精神世界で実際に会話していたんですよ。でも今回出てきたアムロは、ハサウェイの脳内にだけいる存在で全然違う。
あと、どうやらハサウェイは自分の意思があまりないらしいという考察があって。
シャアの発言をなぞってる感じはあったけど……そういうことなんだ。
ハサウェイは、シャアのセリフしか言わないんですよ。自分で考えてそう言ってるというよりかは、思い浮かぶ言葉がそれしかないから、シャアのセリフで受け答えをしてるんじゃないかって。
その考察はすごいね。ハサウェイの病み方が想像以上だよ。
Ξ(クスィー)ガンダムの仮面が剥がれる瞬間
あと、劇場版のΞガンダムって顔のデザインがだいぶ違ったじゃないですか。なんかちょっと昆虫チックな感じで、見慣れたものとは違うデザインだったけど、最後の最後、そのカバーが外れて見慣れた顔に戻るっていう。
そうあれ、クスィーってそんなんだったっけ?って思ったよ。
そこでやっぱり——仮面を剥がされてガンダムフェイスになるっていうところに、すごいメッセージ的なものを感じました。今の自分の考察では「エモい」以上のことが出てこないんですけど(笑)。

ああーなるほど。最後、ギギから求められてハサウェイがヘルメット脱いで抱き合うじゃん。マフティーでもあり、パイロットでもあり、役割の象徴としてヘルメットを脱いで——ギギに仮面を脱がされるわけなんだけど、そことリンクしてるんだね。本心というか、ハサウェイそのものがそこで出てくるところとシンクロしているのかもしれない。
確かそこ、原作小説だとヘルメット脱がないままだったらしいって話があって。
そうなの?読んだの随分と前だからもう忘れちゃっているけど……じゃあ映画は明確に差をつけてきたんだ。それは面白いね。

ギギ——スパイの顔と女神の構造
今回タイトルに相応しく「キルケー魔女」というところで、ギギがちゃんとスパイ活動みたいなことしてるいう描写が意外とありましたね。
あったね。小説を昔読んだけど印象になかったな。今回そこをわざわざピックアップしたのかな。
ハサウェイの担当教授を経由して情報を伝えるっていうところ。スポーティーな服にお着替えして、用意された部屋じゃなくて外の公衆電話からかけるっていうところの描写がリアルだったんですよ。
そうそう、この小説ができたのはギギっていう存在を思いついたからだって富野監督が言ってて。モチーフになっているのが、昔いろんな芸術家たちの間で愛人だった女性らしく、ハサウェイとケネスとの間で、それぞれのインスピレーションのもとになるような女性として描かれてる。ギギが真ん中にいて、両極に二人の男性がいてみたいな感じで話が構成されてますよね。

いやー深い。富野監督の目のつけどころはやっぱり違いますよね。この愛人をテーマに作品つくろうって、普通思わないよね。本当にすごい。
ギギを握ってる方が絶対に負けないムーブを取れるっていう、女神的な存在で描かれてて、結局ケネスは勝ちようがないっていうところも面白い(笑)。
3作目への期待——バンダイとサンライズの思惑
マサヒデ的にはどんなオチを予想してますか?
原作とは良くも悪くも変えてほしいのと、あとはすごいメタ的な視点になっちゃうけど、バンダイとかサンライズがあの時代を膨らませていきたいって考えた時、何か別のシリーズに続ける余地を残すかも、みたいなのはちょっと期待してる。
ユニコーンは大ヒットしたので、そこに繋がる何かを実は入れ込んでくるとかもあり得るかも。年表もあったじゃないですか。
そうですね。あと、ブライトさんに救いがある終わり方をしてほしいですよ。

実は3部作じゃなくて4部作でしたみたいな感じになって……まだ可能性はゼロではないよね(笑)。
3章前編・3章後編くらいは確保してもいいのかもしれない。どうせ観る人観るだろうし。
知れば知るほど楽しい
そういえば、オープニングのΞガンダムが船から出て水に沈むシーンがあるんですけど、ほぼ本題と関係ないのにやたらかっこよくなかった?
あ、あれね、実は関係あるらしいんですよ。あの水に入るシーン、ミノフスキー粒子のせいで機体が水と触れてないらしいんです。要するに動作チェックのために一度潜ってるっていう。近距離で見るとボディと水の間に隙間ができてるらしくて。
そのシーンも知ってて観たら、「この場面これか!」って楽しめたかもですね(笑)。
コックピットのモニターとか一つ一つに全部意味のある表示がされてるようで、配信やブルーレイが始まったらまたそこで盛り上がると思うので、そこもお楽しみに。
振り返り
ぼくにとっては本当にいい話でしたー。観終わった後、これまでの人間関係とかをいろいろ考えるきっかけになって、非常に深く——名作だと思ってます。
ガンダムをほとんど知らない人でも、知っていくほど楽しめる映画だと思うので。絵もすごく綺麗だし、幅広い人に観ていただければと思います。
せめて3年以内には3作目出してほしいですね(笑)。今日もありがとうございました!
